今日は放射線量の話をしよう

今の私のマンションの郵便受けには毎月、福島市の「市政だより」が届く(まだ2回しかもらってないけど)。先月号には「放射線対策ニュース」と「全市放射線量測定マップ」というのが折り込まれていた。それによると、このマンション付近の空間放射線量は現在、およそ0.1マイクロシーベルト毎時だそうだ。事故直後(20116月)の測定では1.1マイクロ以上あったらしいから、10分の1以下になったわけだ。福島市全体の平均も1.330.25へと8割以上減衰した、とある。

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こんな数字を並べられても、おそらく県外の大多数の人は「?」じゃないかと思う。0.1というのは多いのか少ないのか?そもそも「マイクロシーベルト毎時」って何なのよ?ベクレルっていうのはまた別物なのか??etc.

幸か不幸か、この手の知識は多くの福島県民にとって「常識」の範疇になっている。沖縄に行くと、米軍基地の話が地元メディアに載らない日はないのと同様、福島第一と放射線関係の話は、福島県内では日常の情報だ。ローカルテレビでは、天気予報の後に「続いて今日の各地の放射線量です」というコーナーがあるし、地元紙にも県内各地の放射線量が毎日掲載される。

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原発事故で放射能汚染されてしまったところをきれいにする作業が、除染だ。除染は、強制避難になっている(いた)11市町村では環境省、つまり国がやるが、そうでないところは各自治体がやることになっている。原発から50キロ以上離れた中通り地にも、当時の風向きの関係で結構な量の放射性物質が降り注いでしまったので、我が福島市でも市による除染が進行中だ。右の写真のとおり、市内には「除染作業中」の看板がちらほら立っている。この除染の効果と自然減衰とで、上述のとおり放射線量は5年でかなり減ってきてはいる。

それでもまだ事故前の平均0.037~0.046よりも高いのは事実。そのレベルまで原状回復してほしいという当然の心情にどう答えるか、という問題と、現在の0.1とか0.2とかいう数字が危険(健康被害が起きる可能性がある)かどうかの判断は別の問題である。長期低線量被ばくの健康リスクについては、専門家といわれる人々の間でも意見が違うので、そもそも「客観的な判断」というものが難しい。同じようなエリアに住んでいても、個人の生活パターンとかによっても被ばく量は違ってくるから、一概にあそこは危険でここは大丈夫とか言えない。そこがまことに厄介なところで、ここでは詳しく触れないけれども、ともかく私自身はいま危険とは感じていない。

さて、除染してきれいになるのはいいが、それが進めば進むほど溜まっていくものがある。除染というのは結局、枝を落としたり土を剥いだりするので、大量のゴミが出る。この「除染廃棄物」が、いわゆるフレコンパックという黒い袋に詰められて各地に積みあがっているのだ。放射性物質を含んでるので、当然ふつうに焼却したりできない。福島市中心部はいちおう都会(=土や木が少なめ)なので、廃棄物も相対的に少ないはずと思うのだが、ふと気づくと「おお、こんなところに」という場所に廃棄物の仮置き場があったりする。(下の写真:公園の向こう、フレコンパックの山に緑のシートをかぶせた仮置き場が見える。その脇にも必ず線量モニターがついている。)

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第一原発のある双葉町・大熊町に「中間貯蔵施設」というものを作って、県内各地のこういう仮置き場から廃棄物を集める計画になっているのだが、これも一筋縄では全然いかない。

福島市のように原発からは遠く、地震被害の物理的な復旧はとっくに終えて、いまでは何事もなかったかのように見える場所でも、ときどき見かける除染の看板とフレコンパックの山は、ここが原発事故被災地なのだと思い出させてくれる。冒頭で紹介したような数字はしょせん数字。観念でしかないが、除染廃棄物という「事故の遺物」は視覚を通して圧倒的な質量で迫ってくる(上の写真の仮置き場などはまだかわいい方で、避難区域にいけばもっと圧倒的だ)。

もちろん、そのやるせなさを上回る快適さがあるから、私はいまここに暮らしているのだけどね。

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ふくしまホリデーの過ごし方

ゴールデンウィークは少々散財したので、最終日はサイクリング+図書館の一日に。久々にしんじ君2号(自転車)の出番だ。

県庁所在地・福島市には、県立の施設がたくさんある。県立図書館と県立美術館(つながってる)は、我が家から自転車で15分ほど。後ろに信夫山(しのぶやま)をひかえたこの場所は、なんとなくいい「気」が漂っている感じで、私の好きな場所だ。山といっても標高275メートルの「丘」みたいなものだが、街の真ん中にこれがあることで福島市街全体の雰囲気が落ち着いたものになっている気がする。

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先日、家の近くにこれまた落ち着く雰囲気のカフェを発見したのだが、そのオーナーさんいわく、この信夫山があるために福島市中心部には公園が作られないんだとか(信夫山があるからいいじゃん、という理由で)。たしかに街中に緑地は少ないが、駅から20分も歩けば気持ちのいい河川敷に出るし(下の写真)、そのそばには田んぼや畑が広がっている。べつに整備された公園がなくてもいいんじゃないかしらん?

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ちなみに東日本大震災のとき、県立図書館のほうは屋根の一部が落ちたりガラスが割れたりなどの被害があったが、隣の美術館はほとんど無傷だったそうだ。同じ建築家が設計したにもかかわらず、守るべき収蔵品の価値によって作り方が違ったんですよねー、というのもそのオーナーさん情報。

この日、美術館はフェルメール展の最終日とかで混雑していたが、隣の図書館の方はいつものようにゆったりしていた。ソファーに陣取って2時間、スピノザの解説本を1冊読破し、帰りにはパラレル宇宙のハードカバーを1冊借り出し。これ、全部タダだ。いや全部税金なんだけども、なんだかたいへん有難く思える。実は最近まで、私にとって本は買うものであり借りるものではなかったのだが、地方移住で節約を考えるなら、こういう公共のアセットを利用しない手はない。

ただ、原則2週間が返却期限だから、ハードカバーなんか借りたら急いで読まなきゃいけない。ブログ書いてる場合じゃないぞー。

次は「土地に定着しない家」!

今年のゴールデンウィーク、前半は実家で奉公、後半はおとなり茨城県に小旅行した。なぜ茨城かというと、友人が移住したからである。このブログでも何回か紹介しているノマド型単身移住の先輩Mさんだ。このたび九州から引っ越してきたのは、関東にいる親御さんが昨年病気をされ、さすがに飛行機に乗らないでも帰ってこられる距離に、ということだそうである。

私も先月、新幹線に飛び乗れる福島駅近に引っ越したのは、昨年母が大病を患い、父もだいぶ弱ってしまったことが理由のひとつである。やはり単身移住の諸条件として、親の問題は外せない(だったら帰って一緒に住めばいいじゃないか、というのはまた別の話なのね)。

そういうこともあって、Mさんは年齢も移住歴も先輩だがいろいろ話が合う(と後輩は勝手に思っている)。で、GWは茨城の新居に押しかけさせてもらうことにしたのだ。東京から参加したKさんも加わり、元の職場を同じくする女3人が集まれば話は尽きない。(写真はMさんお手製ごちそうの数々)DSC_0180.JPG

私とMさんで盛り上がった話題は例によって「次の住まい」だが、今回は期せずして二人とも「トレーラーハウス」を考えていることが判明した。

このブログで家探しの顛末の一部を披露した際、「買ってしまったのはマンションだけど次こそ一軒家」みたいなことを書いたが(その話はこちら)、このたびの熊本地震をうけて、同じ一軒家でも「土地に定着しない家」にしようと、思い至ったのである。もともとノマド志向(思考)のMさんもその点で意気投合し、近いうちに展示場を見に行こうという話になった。

もともと家はそんなに広くなくていいし、子供に遺すという必要もない。なにより「移動の自由」は私らのような人種にとっては至上の価値である。先日帰京したとき、久々に大学時代の友人Aさんに会ったのだが、彼女も以前トレーラーハウスを検討したことがあると言っていた。やはり時代の流れじゃないかしらん?

トレーラーハウスにももちろんプロコンあるから、これからゆっくり勉強するつもりだが、ぼちぼち本気で土地を探して還暦から先に備えようと思っている。興味のある方はこちらの顛末もぜひお楽しみに!

考察:福島県とハイブリッド

しんじ君がまた入院した。こないだ車検を通したばかりなのに、今度はミッションオイルが漏れているというので、なんとかしてくれと車屋さんに預けてある。年末に一度ぶつけられてしまったのは仕方ないが、その前にも給油ハッチがあかなくなったり、マフラーが折れたりして、この2年間そこそこ入院代がかかっている。ミニマリズムのしんじ君は私の身の丈に合った大のお気に入りで、次の車検まではぜひ乗りたいと思っていたが、今回の故障はそろそろ買い替え時のサインかもしれない。当初の想定外の福島移住、次は長く乗るつもりでもう少し自動車らしい自動車にすべきか…

しんじ君そう思って周りの車を改めて観察してみると、このあたりはハイブリッド車がなんだかとても多いように思う。ハイブリッドっていつの間にそんなに普及したのかと、自検協さんのサイトに載ってる統計(保有台数)から計算してみると、20153月末現在で全国のハイブリッド車の普及率は… 

あら?5.8パーセント?乗用車に限っても7.7パーセント?それでもこの数年で倍増してるみたいだが、案外少ない。しかし私の感覚では、福島県内(少なくとも私がウロウロしている中通り地方)では絶対にもっと高いと思う。都道府県別のデータが見つからないので正確なところはわからないが、感覚的には2~3割はハイブリッドが走ってる気がする。

もし福島県のハイブリッド普及率が他県より本当に高いとすれば、おそらくそれは東日本大震災と原発事故を経験したからじゃないかと思う。当時、被災地はどこもガソリンが品薄になった話、特に原発被災地ではいろんな物資の搬入が途絶えてしまった話、みなさんは記憶しているだろうか。車社会では、ガソリンがなくては動けない。逃げられない。モノが運べない。まさに「いのちの水」なのだ。(もちろん東京など大都市圏でも、ガソリンがなければ少なくとも末端への物流は途絶えるから、長引けば死活問題なのは同じだが。)

当時ガソリンが枯渇したのは、緊急避難を余儀なくされた原発至近の地域だけではない。先月私が引っ越してきた福島市でも、わずかな量を買うため徹夜でスタンドに並んだという話を聞く。そういう経験をした福島では、少ないガソリンでたくさん走るハイブリッド車の普及率が全国平均より高くてもおかしくないんじゃないかな。普通の車でも、メーターが半分を切ったらすぐに給油する習慣になったという人は多いし、ポリ容器に入れた少量のガソリンを常に積んで走っているという人も、実際にいる。

ちなみに、電気自動車となるとハイブリッドよりもさらに普及率は低い(3桁少ない)が、それでも震災後の5年間で実に376倍(20103月末141台→20153月末52,600台)になっている(上述のサイトより)。これからの時代、やっぱり2代目しんじ君はガソリンレスかしら?

しかし引越しでなにかと物入りなところ、短期経済的には初代にもう少しがんばってもらいたいのだが…(写真は2年前、私のもとに来たばかりのしんじ君)