「コイン精米」初体験の巻

農産物はなるべく産直で買うという、おひとりさまにはすこぶる非合理的だが移住組にはありがちな決意に従って、お米も必ず産直で買う。といっても、最小の5キロ袋を買うと半年近くもってしまうのと、その間さらに他人様からお米を頂戴したりするため、地方暮らし2年半でまだ3回くらいしか買っていない。

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前回買ったのはこの春のこと。それまでは白米を買っていたが、このときは夏場の保存を考えて玄米にした。イマドキの炊飯器は手軽に玄米も炊けるので、先月までは玄米のまま炊いていたが、どうもこれだけ暑いと玄米は重たい。やっぱり精米しようと思い立ち、気になっていた「コイン精米」という施設へ行く。

二本松市に住み始めた当初、田舎道の角に電話ボックスのように立っている「コイン精米」というものを初めて見て、軽いカルチャーショックを受けたものだ。農家さんは自分のところで精米できるだろうし、農家でない人は白米が食べたければ白米を買えばいいじゃないか。いつだれが使うのかわからなかったのだが、なるほど、こうやって使うのね。

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などと一人で合点しつつ、さすがに今の住まいがある福島駅近の町角にはコイン精米機は見かけないので、車で15分の産直の敷地内にあるやつへ直行する。人生初の精米体験だ!もちろん無人なので説明書きを読みながら操作する。10キロまで100円だそうで、まず100円球を投入。精米度合いも3段階で選べるんだな。

次に米を投入。ってどこに?玄米の投入口と白米の出口の位置関係に悩み、1分ほど逡巡したが、まあそんなに難しいわけはなかろう。こっちだろう、と思った方に入れてスイッチを押したら、2,3キロの精米なんてあっという間だ。

DSC_0377そして、白米とともに出てくるのが糠である。糠がたまっているドラム缶ほどの容器の上には、「ご自由にお持ち帰りください」の表示が。イナカっていいなあ。糠は健康オタクが大好きな発酵食品の素である。私も健康オタクの端くれであるので、もらって帰りたかったが、あいにく容器がなかったため断念した。

と、ここまで2週間ほど前の話である。

先週末、リベンジで糠だけもらって帰り、さっそく糠床を作った。むかーし、人に糠床を分けてもらって漬けていたことはあったが、生の糠から作るのはこれも人生初だ。まあ、だれがいつどんな米を精米してできた糠かわからないし、疑ってかかればだれが何を混入させているかもわからない。気になる人にとっては正気の沙汰ではないかもしれないが、私の場合は好奇心が勝る。

まだ全然熟成していないから、今日あたり捨て漬け野菜をかじってみてもただの塩漬けだ。コイン精米の素性不詳の糠でおいしい糠漬けが作れるのか、来週以降のお楽しみである。

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移住してよかったモーメントのご紹介

今日は日曜日。台風が来るというので家でまったり、と思っていたのに、朝起きたら吾妻山がくっきり見える快晴じゃありませんか。あわてて洗濯機を回し、「こんな天気ならどこか行かなきゃ」モードに。昨日コンビニで見た福島市の広報誌のイベントカレンダーに、浄土平でノルディックウォークっていうのがあったなと思い、しんじ君を駆って磐梯吾妻スカイラインを目指した。

DSC_0404.JPGスカイラインの中間地点、標高1600mにある浄土平。まず名前がいい。生きながら浄土が見られるなんて。湿原の中を縦横に木道が整備されていて、軽装でも簡単に歩ける。向かいの吾妻小富士も一周40分程度で私などにはちょうどいいウォーキングコースだ。もう少し登山ぽいことをしたければ、一切経山という、これもご利益がありそうな山の往復がちょうどよかったのだが、いまは吾妻山の噴火警戒で登れなくなってしまった。

ここには天文台があって、星空ウォッチングの絶好スポットでもあったのだが、こちらも噴火警戒のために夜間の滞在は禁止。なんだか原発避難区域のようである。

さて、お目当てのノルディックウォークは(なぜか)この天文台の主催というので事務所を訪ねたところ、あら、事前申し込みが必要だったらしい(広報誌には先着順としか書いてなかった気がするが…)。しかも、台風だからと事前申込者には中止の案内を出してしまったんだそうである。でもこの好天気、天文台館長さんの計らいで、私が行きたければ催行してくれることになった。なんとラッキー、というか有難い。ガイドさんとマンツーマンで1時間半ほど、初秋の浄土平を満喫した。(写真は桶沼と一切経山)

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そのガイドのWさんはそろそろ後期高齢者というお歳であるが、おひとりで一合目から富士山に登る山男である。そういえば80歳でエベレストに登った人もいたが、かたや79と83で要介護の我が両親を思うと、人間とは生活習慣でこうも違うものかと感慨深い。私もせいぜい足腰は鍛錬しておこう。

福島駅5分の我が家から、この浄土平までは1時間弱でいける(車が高性能ならもっと早いでしょう)。その途中には極上の硫黄泉、高湯温泉があって、浄土平の帰りは日帰り入浴が定番コースだ。朝起きて天気を見極めてから出発しても、十分自然を満喫して夕方までには帰ってこられる。

以上、「地方移住してよかった」モーメントのご紹介でした。

一割のぼやき

このブログは「東京→福島移住日記」なので、基本的には福島での生活のこと、「おひとりさまの楽しい地方暮らし」ネタを書いてるつもりである。実際、いまの生活の9割方はストレスフリーで文字通り楽しいことばかりなのだが、残り1割はそうもいかない。

それはやはり年老いていく親のこと。

お盆も東京の実家に帰っていた。父が先月から入院中。母も昨年の大病から回復しきっておらず、一人で外出もできない。ふだんは公的サービスも使いながら弟がいろいろ面倒を見てくれているが、たまの休みには一人で好き勝手している姉が交代してやらないと罰が当たる。

なわけで、いつもは週末の1泊2日のところ、今回は45日で孝行に努めた。

目的は親孝行でも、東京に帰ったら必ずやるのは、友達に会うことだ。やはり50年近く東京で暮らしてきた間に築いた友人関係は、福島でこの2年余りの間に新しく作った関係よりも、まだ何倍も深くて大きい。

この東京の友人たちは、だいたい同年代である。類は友を呼ぶというのか同類相哀れむ??というのか、仲良しの中には気軽に誘えるおひとりさまが多いが、家族持ちでも子育てが終わって一緒に夜遊びができるようになってきたのが、ここ10年くらいだろうか。でも最近は、誰と会っても話題は圧倒的に親の病気と介護である。

今回は、前々職で一緒だった友人Oさんと半年ぶりに会った。自身の親御さんの入院に加え、だんなさんのご実家が4月の熊本地震で被災されたという。義理のご両親もそれなりにご高齢だから、避難生活は大変だ。東京からそうそう頻繁に行かれる距離ではないが、支援のため数回往復したという。聞けば、航空料金にはいまどき「介護帰省割引」というのがあるが、大して安くならないらしい。おまけにペットまで病気になって手術をしたそうで、「もうたいへん」と言っていた。おカネの問題も含めて、本当に、いろんな意味で大変だよね。

Oさんのように「親が地方、子供が東京」でも、私のように「親が東京、子供が地方」でも、基本的に問題は同じだ。「遠距離介護」でググれば、お役立ち情報がたくさん出てくることも最近知った。ま、東京ー福島は遠距離のうちに入らないかもしれないが。

「遠距離介護日記」ではなく「地方移住日記」という立場で言えば、私の場合、まだ親が元気なうちに地方移住を敢行しておいて良かったとは思う。私が福島を選んだのは第一には仕事があったからだが、こうして親に倒れられてみると、新幹線を使えば日帰りも可能な距離でよかったとつくづく感じる。実際、飛行機でしか行けないところへ移住した友人Mさんは、親御さんが倒れて、結局ご実家の沿線の関東圏に戻ってきた。

このさき私も、自分の都合と親の状態を折り合わせながら、どこに住むことになるかわからない。おそらく二か所居住みたいなことになるんだろう。考えてみれば、遠かろうが近かろうが住む場所を変えたら「移住」である。どんな移住でも楽しめるような、心の持ち方をしたいものである。

それにしても、東京→地方移住を推進するなら、飛行機や新幹線、高速道路の介護帰省割引の充実は必須のような気がするが…

水道料金がぜんぜん違う件について

4月に福島市にある今のマンションに引っ越してから、上下水道料金が管理費といっしょに請求されるようになった。区分所有建物にはいくつか住んだことがあるが、この方式は初めてだ。聞いたときはへえーと思ったが、福島ではわりと普通らしい。

14633264052_2a7a8b8429_cその料金、最初は大して気に留めていなかったが、先月の明細をよくよく見ると、「水道料6346円」とある。

ちょっとまて。2ヶ月に一度の請求だとしても、ひと月3000円以上かかっているのか?

それまで住んでいた二本松市の水道料金は、ひと月決まって1350円だった。東京に住んでたときだって、ほぼ定額の1870円。おひとりさまの水の使用量などたかが知れていて、いくら使っても節約しても同じ「最低料金」なのだと勝手に思っていた。これを機会にちょっと調べてみると、あらまあ、実は最低料金などというものはないらしい。

水道事業は、自治体の一般会計とは別で独立採算制なんだそうだ。これも恥ずかしながら東京にいるときは知らなかった。だって、「うちは井戸水使ってるから水道料金払ってない」という人は周りにいなかったし。(今はいる)

受益者負担・独立採算なのであれば、加入してる世帯数とか、どこから水を引っ張ってくるかとかで料金が結構変わってくるのは、ある意味当然、というか仕方ないんだろう。おひとりさまサイズの場合(13㎜口径、10㎥以下)だと、二本松市二本松地区では基本料金が950円、水量料金が65.88円/㎥。対する福島市は、同1250円、84円/㎥。ざっと3割増しである。ついでに東京都水道局のホームページも見てみると、23区ではなんと同860円、22円/㎥。

東京ってこんなに安かったのか… こういうとき人が多いっていいね、と思ってしまうが、二本松市と福島市の人口を比べれば、必ずしも加入者数が多いほど安いということでもなさそうだ。

福島市に引っ越して住まいの面積が多少大きくなり、バスタブも若干大きくなった。友人を招けるようになって宴会が増え、使用水量も多少は増えたんであろうが、この値上がり具合は想定外であった。

といっても福島市だけが全国で突出して高いわけではないらしい。あらためて、「生活ガイド」という比較サイトで見てみると、安い方から数えて1146市町村中1097。やっぱりかなり高い方ではあるが、上には上がある。これまで何回も引っ越ししてきたが、ずっと23区内だったから気づかなかっただけで、住む地域によって水道料金こんなに違うんだと、50年以上生きてきて初めて知った。住民税率の差など、これに比べれば微々たるものである。

この水道料金しかり、冬場の暖房費しかり、車にかかる経費もしかり。地方は東京に比べて生活コストが安いというのは、必ずしも正しくないのだ。

花と緑のある暮らし(田舎の場合)

田んぼに囲まれた二本松のアパートから、福島駅近くマンションに引っ越して、新幹線に乗るのは便利になったが、農産物直売所は少し遠くなった。駅前や国道沿いの大きなスーパーで日用品の買い物をするついでに、野菜や果物も買ってしまうことが多くなったが、なるべく月に2回くらいは車で20分ほどの産直へ買い出しにいくようにしている。野菜も果物も新鮮で量が多くて安くていまだに感動するが、これに慣れている人にとってはスーパーの野菜の値段が信じられないだろう。

原発事故の避難地域では、産直以前に家で食べる分の野菜くらい自分たちで作っている人が多かったから、田畑をなくし、なんでもスーパーで買わざるを得ない状況に置かれて、心身ともにさぞやストレスフルだろうなと思う。

一方、おひとりさまにとっては量的にはむしろスーパー野菜のほうが合理的だったりするのだが、私の場合なんとなく「地方暮らしの良さ=安くて新鮮な産直野菜」みたいな公式が頭にあって、「産直へのあこがれ」は容易に消えそうにない。

そして、この産直には切り花も豊富に売っている。花も、考えてみればあたりまえだが農産物の一種なのだ。東京暮らしの頃は、客がくるわけでもないのに自宅に飾る花を買う、というのは心にも財布にも余裕が必要な行為だったが、こちらでは200300円で小さな花瓶2つ分くらいの季節の花が買える。もちろん、おしゃれなアレンジメントではなく素朴な単品売り、もしくはいかにも「ご自宅用」のアソートなので、飾るほうのセンスが試される。が、そこはまだ発展途上である。

こうして気軽に花を買えるようになったのに加え、たまに花を頂くこともあるし(そこに特別なメッセージはなく、あくまで農産物のおすそ分けなどとして)、自然ゆたかな二本松に住んでいたときは、散歩中に花を摘むこともできた。ということで、我が家はわりと「花のある暮らし」になっている。

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いや、飾るのは花だけではない。先日は友人のSさんの家で「夏野菜の収穫体験」をさせてもらい、抱え切れないくらいの野菜を頂戴したのだが、青々した立派なセロリの葉は、花瓶に挿してしばらく観葉植物として楽しませてもらった。「セロリを飾る」なんて農家の人は考えたこともないらしいが、都会人の意外な発想、いい刺激になれば幸いである(笑)。

(写真は、野菜収穫させてもらった友人宅のお庭というか畑。観葉セロリの写真は撮るのを忘れました)