走ってみようぜ、私

先週、東京では観測史上初の11月の積雪となったそうだが、私の住む福島市街地では幸い雪はほとんど降らなかった。

福島市街地は盆地なので夏は暑く冬は寒いと言われる。今年の春に二本松から引っ越したとき、福島市の夏は熱風が吹くぞなどと脅されてシーズンを迎えたが、東京都心で8年間クーラー無しの生活をしたことがある私に言わせれば、あんなのは暑いうちに入らない。いたって快適であった。

こんどは福島市の冬は雪が多いぞと脅されているが、約3年前に東京から二本松へ引っ越してすぐ、地元の人が30年ぶりと驚いたドカ雪を経験しているので、なんだかもう怖いものはない(ような気がする)。

DSC_0678そして盆地なだけに、福島市街地はフラットで坂がほとんどない。坂だらけの二本松ではほとんど出番のなかったしんじ君2号(自転車)も、ここでは駅の向こうのショッピングセンターへ、図書館へと、けっこう活躍している。用事を足すだけでなく、運動がてら、市内を流れる荒川河川敷のサイクリングもなかなかよい。

そう、福島にも荒川という一級河川があるのだ。東京の荒川というと正直いってあまり清涼なイメージはないが(すいません)、福島のはたいへんキレイである。ちゃんと裏付けがあって、国土交通省河川ランキングなるものによると、荒川は6年連続、東北地方で「平均的な水質が最も良好な河川」なんだそうだ(2015年の資料)。2007年には日本一にもなったらしい。

河川敷はずっとサイクリング&ジョギングコースになっていて、上流に向かっていくと水源である吾妻連峰が行く手にそびえ、まことに美しい。下の写真(夏に撮影)のとおり、まさに「走ってください」と言わんばかり、全国のランナー垂涎のコースじゃないかと思うのだが、残念なことに実際に走っている人は休みの日でもほとんど見かけない。福島県は陸上競技が盛んと聞いているが、一般人は大して関心がないのか。

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かくいう私も、半分フリーになって時間ができたら30代のマイブームだったジョギングを復活させようと思っていたのだが、どうも腰が重くていかん。

12月に入れば福島も雪の降る日が増えるだろう。雪が積もったらジョギングもサイクリングもお預けになる。その前に一度くらい、この眺めを独占しながら走ってみようぜ、私。

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国保税の通知を見て卒倒しそうになった件について

30年ちかいサラリーマン生活の間、「平日の休み」というのはゼイタクなものであった。これまででいちばんのゼイタクは約3年前、前職を辞めて復興庁の任期付き職員として全町避難中の自治体に派遣されるまでの、2か月間の有休消化である。その間に新天地で物件を探し、引越しし、車を買い、土地に慣れるため周囲を探検し、合間には京都にも旅行した。それでも最後は時間を持て余してしまったので、新しい勤め先となる役場に2週間ほど早く「ボランティア出勤」させてもらったのだった。

リタイヤ移住でなく転職移住であっても、こうして間にバッファ期間が長くとれたことで、身体的にも心理的にもかなり楽だったと思う。有休をたくさんくれた前の職場には大感謝である。考えてみれば給料をもらいながら休暇がとれるなんて、まったくサラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ(by 植木等)。無論、過労自殺を引き起こすようなブラック企業は問題外だれども。

DSC_0664さて、9月末、そのサラリーマンを半分卒業して週3日のパートになった。自由になる時間が増えたのと引き換えに、有休はもちろん、勤め先に半分払ってもらっていた年金や健康保険など、フルタイム宮仕えの特典をすべて手放すことになった。

もちろん承知の上である。承知の上ではあったが、実際に福島市から徴収の通知がくると、なんとも心が乱れてしまう自分がいた。住民税も年金保険料もはじめから額はわかっていたが、天引きされるのと自分で銀行からおろして払込票を書くのとでは、なぜこうも負担感が違うのであろうか(笑)

そして健康保険税に至っては、まったく青天の霹靂であった。もちろん、労使折半がなくなることも、加入していた公務員共済は料率が低かったことも知っていた。だから大よそ2.5倍目安で想定していたのだが、届いた通知にびっくり仰天。1回の支払い額がいきなり6?!?!

少し冷静になったら、6か月分を4回に分けて払うので1か月分に直すともう少し減ることに気づいたが、それでも想定を大きく上回る4倍弱である。なにかおかしいんじゃないか?と思い、納付書に同封されている書類の、ふだんは読まない小さい字をたくさん読むと、そうか、国保の場合は(当月のお給料ではなく)前年度の所得が基本になってるのね…

考えてみれば他にベースになるものがないから当たり前なのだろうが、サラリーマン一筋の私にとって、恥ずかしながらまったく新しい情報だった。そして私の前年度の所得は、たまたま東京のマンションを売却したため一時的にかなり膨らんでいたのである。サラリーマン卒業と引き換えに手に入れたゼイタクである「平日昼間の自由時間」を利用して、念のため市役所に電話で確認したが、やっぱりそういうことであった。

うーむ。あと半年、年度末まで卒業を待てば30万も負担が少なかったのか…。ま、その気になって調べればネット上にいくらでも情報はあるのに、調べずに今ごろビックリしてもしゃーないわな、これは。

しかし、だからといってこのタイミングでパートになったことを後悔しているかというと、まったくしてないのであーる。Life in Fukushima第二章「プチ・リタイヤ編」は、これからが本番だもんね。^o^/ 

(写真は福島市内を流れる荒川の河畔。川沿いの遊歩道をよく散歩するが、先日たまたま、普段は歩かない方まで行ったらこのサインを見つけた。近くを通る新幹線の乗客に向けたものかと思うが、車窓から気づいたことはないなぁ…)

おかあさんのダイコンに寄せて

20代半ばの一時期、オーストラリアに住んでいたことがある。食材は安かったので、自炊している限り生活費は大してかからず、貧乏な若者には有難かった。週末の青物マーケットにはよく行ったし、当時はふつうに肉も食べていたから、ときどきは肉屋にもお世話になった。カルチャーショックは、どこでもすべて「キロ単位」だったことである。牛肉1キロいくら、トマト1キロいくら。100グラム単位表示に慣れている日本人には新鮮だった。周りのお客さんもキロ単位か、少なくともhalf a kilo、すなわち500グラムで買っていく。しかし、こちとらビンボーひとり暮らしである。肉なら冷凍できるとはいえ500グラムも買う自信は財布にも胃袋にもなく、遠慮がちに100グラムください、とか言って「huh?」と聞き返されたものだ。

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久しぶりに同種のショックを受けたのが、数日前のこと。福島に来てから知り合ったSさんの家では、お義母さんが立派な畑をやっていらっしゃる。そこへ年に2回ほど、「収穫のお手伝い」という名目でリヤカーいっぱいの野菜を頂戴しにいくことになっており(すいません、私が勝手にそういうことにしているだけです)、その日は冬野菜の収穫だった。といっても、私がやった仕事は立派なダイコンを3~4本引っこ抜いたくらいだが、お昼ごはんとお茶までごちそうになり、恐縮至極。そしてそのお茶請けにいただいた自家製タクアンが、これまた美味至極。レシピを乞うと、ダイコン10キロに対して、まず塩500グラム… ふむふむ、とメモを取る。

いや、まて。ダイコン10キロって何本くらいなんだろうか。というか、ダイコン10キロをどうやって計るのか?うちのキッチンスケールは1,000グラムまでしか測れない。どこかに体重計があったはずだが… てか、10キロのタクアンを作ったら売って歩かなければならない。いや、売れればいいが食べられない代物ができたら困る。初心者おひとりさまは、すべて20分の1で計算しなおそう。

もうひとつ似たような話。うちにははるか昔に実家からもらいうけたクロッククッカーという調理器があって、その付録のレシピ集が昭和という時代を映し出している。ほとんどが出来上がり56人分なのだ。当時の家族は、そのくらいのサイズが珍しくなかったのだろう。そういえば、うちも子供のころはおばあちゃんがいて5人家族だったよね… しかし、いまや年季の入ったおひとりさま生活、普段の料理はせいぜい2人分が目安である。たまにそのレシピ集を参考にするには1/3とか2/5とかの再計算が必要で、ちと面倒くさい。

そうだ、Sさんのところは3世代6人家族だから差し上げようか。いや、お義母さんにはこんな料理本はいらないよな。てか、クロッククッカー本体を一緒に差し上げないと意味ないよな(笑)

DSC_0657こうしていただいた野菜を周りにおすそ分けすると、お返しに今度はイクラだの果物だのをいただく。イナカでは、現金を介さない物流というのがたしかに存在するのだ。現にSさんの家では(原発事故の直後を除いて)野菜は買ったことがないというし、この辺りにはそういう兼業農家は少なくない。いまスーパーでは天候不順とかで野菜が高騰しているらしいが、Sさんの畑はまったく影響がないようだった。

世界がどんどん不穏当になっていく気配がするいま、サバイバルの基本はやはり「自家菜園」だろう。そろそろ本気で土地を探さなければ。Sさんの畑を歩きながらつくづくそう思ったのだった。

恋しいハーブ

先日、例によって日帰り温泉で露天風呂を楽しんでいた。

この辺の紅葉はもう少しだな、などと思いながら浸かっていると、ふぅと風が吹いて、空からハラハラと小さなものがたくさん、お湯に向かって降りてきた。よく見ると、一つ一つがヘリコプターのようにくるくる回転している。着水したそれは一瞬、羽虫のようにも見えたが、一枚羽で根元にぷちっと丸いものがついている。見上げると立派な松の木が。

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そうだ、これは松の実だ。気づくと湯の表面にはかなりの数の羽が浮いている。これを全部集めればジェノベーゼソースが… いや、できませんね。w

松ぼっくりから出てきたばかりの、この状態の松の実を見るのは生まれて初めてだった。種だけがポトっと落ちるのではなく、羽がついていい具合に風に運んでもらえるんだね。風に種を運んでもらうといえばタンポポの綿毛くらいしか知らなかったが、こちらは一枚羽プロペラ方式。植物の智慧とはすごいものだと、しばらく口を開けて見入ってしまい、おかげで手足がすっかりふやけてしまった。

ちなみに、ジェノベーゼのもうひとつの材料はご存じのとおりバジルである。福島のこの辺ではフレッシュハーブ類は一般に入手困難だが、バジルだけは一定のローカル需要があるのか、夏の一時期は産直でビニール袋いっぱい100円くらいで売っている。あまりに大量で、がんばってジェノベーゼソースを作っても半分くらい余ってしまうのだが、はて地元の皆さんは何に使うのだろうか?

一方、バジル以外のハーブとなると大きなスーパーでもなかなかお目にかからない。私は元々そんなにハーブを多用する食生活はしていないので、大して困るわけでもないが、ときどきパクチーだけは無性に恋しくなる。オーセンティックなタイ料理恋しさとも同期しているだろう。なにしろ、東京に住んでいたときは週に一度は自宅裏のタイ・レストランのお世話になっていたのだ。

だから先日、いつもの産直でパクチーの束を見つけたときの私の顔は、シンデレラ・エクスプレスの牧瀬里穂のようだったに違いない。(わかりますかね、このたとえ)

14956396_10210970628050888_311876837412926218_nといっても、自分でオーセンティックなタイ料理が作れるわけではないので、作ったのは塩&ごま油のナムル風サラダ。ドンブリ一杯を5分で完食し、しばし香りの余韻に浸った。

そんなに恋しいなら自分で栽培すればいいって?たしかに。ベランダ菜園にはこれまでどうも手が出なかったのだが、さて、次の日帰り温泉の帰りにはホームセンターの園芸コーナーでも寄ってみるかー

しんじ君が新しくなりました

愛車しんじ君が二代目になった。こんどはコンパクトながら普通自動車である。

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別に事故や故障で代替わりというわけではない。

先代のしんじ君を郡山のディーラーで購入したのは、かれこれ3年前である。基本、職場と近接したアパートとの往復にしか使わない前提で、迷いなく中古のミニマムな軽自動車を探した。といっても、雪が降るからと四駆にだけはこだわったら意外と選択の余地がなく、新しい冬タイヤ、保険など諸々込みで、10年落ちのダイハツミラでも70万近くかかったと記憶している。もともと約1年のお試し移住のつもりだったから初期費用は抑えたかったのに、すでに最初から予算オーバーであった。

その後、1年限定で応援に入ったはずの自治体の仕事は、請われるまま延長に次ぐ延長で(有難いことに)、気づけば3年近くが経過。途中でマンションまで買ってしまい、その時点で往復10キロだった通勤距離が50キロに伸びていた。加えて人が訪ねてきてくれることも増えて、たまには4人乗せてドライブできるといいよね、とか、たまには高速道路も長時間走れると便利だよね、という、軽自動車にはちょっと苦しい場面が重なってきた。

そこで先月、念願の?プチリタイヤで福島暮らし第二章が始まったタイミングで、しんじ君も普通自動車へと代替わりさせたのである。先代は、購入時点で予算オーバーだったのにこの3年で2回の車検とさらに4回の故障入院。こんなことなら最初から普通自動車の新車でも買えばよかった、と思わないでもないが、人生は予想外の展開の連続だ。致し方ない。

二代目しんじ君はエンジン1300㏄のいわゆるコンパクトカーで、このたびはふつうの前輪駆動車である。この辺たしかに雪は降るが、スキー場などには一切近づかない私にとって、「四駆でよかった」と感じる場面はひと冬に1回あるかないか。四駆はかえって燃費が悪いだけ、ということを学んだ結果だ。燃費にこだわるなら、みんなが乗ってるハイブリッドにしようかとも考えたが(福島には全国平均より絶対ハイブリッドが多い…ような気がするという記事はこちら)、ハイブリッドは中古であってもやはり相対的にお値段が高く、諦めた。もっともイマドキのコンパクト車はかなり燃費がよいらしいので、満タンで職場を何往復できるのか記録しているところである。

ちなみに、私が運転免許をとったのはたしか大学1年だったから、もう30年以上も前のことだ。当時の自動車にはカーナビもキーレスエントリーもなかった。パワーウィンドウすらまだ珍しかったのではなかろうか。3年前福島に来て、必要に迫られてハンドルを握ったのは実に20数年ぶりだったのだが、先代しんじ君の装備はたいへんベーシックだったから、数十年のギャップをまったく感じずに済んだ。

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ところが、今度の二代目は中古ではあるがまだ3歳と新しく、見慣れない装置がたくさんついている。

まずはキーを差し込まないでもエンジンがかかるのに驚いた。カーナビはそれなりに便利と思うが、ギヤをリバースにするとその画面がバックモニターというものに切り替わる。それを見ながら車庫入れするらしいのだが、なんだかなおさら曲がってしまう。全体に「エコ」を意識した車なのは有難いが、リアルタイムで燃費がチラチラ表示されるとかえって気になり、運転に集中できない。ガソリンスタンドで給油ハッチのレバーが見つからず焦ったら、ドアロックを解除するだけでいいそうな(爆)。

…二代目しんじ君と仲良くなるには、もう少し時間がかかりそうである。(そもそもなぜ「しんじ君」なのか疑問に思った方は、こちらの記事をどうぞ