芽が出てふくらんで花が咲いたら何をする?

この時期の福島は美しい。冬の寒さが厳しい地方こそ、春の到来は格別にうれしいものだ。

都心のマンションに住んでいたころ、季節の移り変わりを知る術は気温と日の長さくらいだったが、こちらでは花が咲く、鳥が鳴く、土手の雑草が茂る、産直に菜花が増える、日に日に山肌の白い面積が小さくなっていく--まさに身の回りのすべてを通じて春を感じられる。

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くだもの王国として売り出し中の福島県。中でも我が福島市は果樹栽培が盛んで、6月のサクランボを皮切りに桃、梨、リンゴと、これから次々にシーズンを迎える。フルーツラインと命名された道路の両側には観光果樹園が並び、シーズン中はピッキングと直売を目当てに多くのお客さんが訪れる。

こういう果物は、当たり前だが花が咲くからこそ実がなるわけで、4~5月にフルーツラインを走ると、白やピンクの花々がとてもきれいだ。実は最近までどれが何の木だかわからなかったのだが、いまは花と枝ぶりでちゃんと見分けられる。

というのも先週、知り合いの果樹農家さんで農作業の手伝いをさせてもらったからだ。何をやったかというと、桃の摘花とサクランボの授粉である。なぜこんな作業が必要なのか?

農作物は多かれ少なかれみな同じだろうが、ただ自然のままにしておいたら売りものはできない。咲いた花を的確に間引きしたり、人工的に授粉してやらなければ、人間が買い求めるような立派な果物はできないのである。まったく、何事もやってみないとわからないものだ。こんなに手間と時間がかかっているとは知らなかった。

DSC_1150摘花は、脚立に上ってただひたすら、適切な間隔でピンクの花を摘んでいく。2人で1時間作業して、中くらいの桃の木がやっと1本終わるかどうか。脚立の上の作業は結構バランス感覚が要求され、体幹も鍛えられるらしい。前にこのアルバイトをしたことがあるという友人Sさん(40代女性)は、「ワンシーズンやったら腹筋が割れた」と言っていたが、あながちウソではないと思う。

サクランボの授粉というのは、自家受粉しない(=同じ品種同士では実を付けない)佐藤錦という品種に必要な作業だそうで、雇われたミツバチ君たちとともに人間が別種のサクランボ花粉を雌蕊にくっつけていく。こちらは肩掛け型の小さな機械を使う。長いホースの先についている鳥の羽で花の表面を撫でてやると、先から出てきた花粉がまぶさるようになっている。

どちらの作業も、ひたすら目の前の花と木に集中して行う。たまに顔をあげれば真っ青な空が(雨の日はできないから)。どこからかホトトギスやキジの鳴く声が聞こえ、遠くには雪解けの進む山々… 思考が止まって無心になれる。

その1週間ほど前、友人の紹介でポラリティセラピーという施術をしてもらったのだが、そのセラピストさん曰く、ふだん物書きの仕事をしている私は、常にコトバで、すなわち頭で考えていて、首から上がカチカチに緊張しているのだそうだ。「たまには散歩でもして無心になって」というのだが、散歩くらいでは残念ながら頭ぐるぐるは止まらない。

やっぱり、瞑想には料理と農作業がぴったりのようである。

(写真は白いサクランボの花とピンクの桃の花)


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