凡庸なる者のつぶやき

福島市内に、あづま総合運動公園というところがある。広大な敷地に野球場やサッカースタジアムをはじめいくつものスポーツ施設が、かなりのゆとりをもって配置されている。緑の芝生の丘が連なる広場やバラ園、木立の中を散策できる遊歩道なんかもあり、ピクニックにはちょうどいい。

都内でも、代々木公園や新宿御苑など、それなりに木が多くて清々しい場所はあるが、福島の何が違うといったら山が間近に見えることだ。しかも週末でも混んでいない。よさげなベンチがいくらでも空席である。

DSC_1445こんなにすてきな場所がうちから車で15分なのだから、もっと頻繁に来ればいいと思うのだが、いつでも行けると思うと存外行かないものだ。

フリーになってからというもの、土日といっても何かしらやるべき仕事がある(有難いことに)。さらに今月からは週に二晩、英語の先生のアルバイトも始めたので、多少はその準備もしないといけない。

でも先週の日曜日は久しぶりに「やるべきことが何もない」日だったので、少々曇りがちではあったが、レジャーシートを引っ張り出し、サンドイッチを作り、コーヒーをポットに入れ、久しぶりにその公園へと向かったのであった。

暑くもなく寒くもなく、心配したほど風も強くなく、イメージ通りの快適ピクニック。この公園からだと吾妻小富士がけっこう近くに見える。よさげな場所にシートを敷き、とりあえず飲み食いしながらぼーっとしていると、一人でゲートボールを練習しているらしいおじいさんが、ボールを打ちながら傍らを通り過ぎる。あちらでは若いカップルがキャッチボールをしているが、女性の方が毎回球を取り逃がすので、途中からゴロになった。

犬連れも歩いている。前回、「この辺では柴犬が多くて洋犬は見かけない」と書いたが、この日見かけた数頭のうち、柴は1頭だけで残りはみんなカタカナ犬であった。シュナウザーとかコーギーとか。やっぱり、ちゃんといるんだねw みんな飼い主と楽しそうに遊んでいる。あぁ平和だ。(でも熊出るらしいから気をつけようね)

DSC_1464サンドイッチを消化したあとは、スマホいじりではなく読書タイム。この日は、図書館で借りた単行本を持ってきた。

いつも行く県立図書館にはふくしま未来研究会という財団からの寄付本コーナーがあって、比較的新刊の本が置いてある。そのセレクションの基準は、おそらく「福島」「移住」「健康」「地域おこし」みたいな感じだと思うが、ドキュメントあり翻訳小説ありレシピ本あり指南書系あり、かなりバラエティに富んでいる。

いつも小説や随筆はほとんど読まないのだけれども、その時はたまたま目についた「漂うままに島に着き」(内澤旬子・著)というエッセイを借りてきていた。著者が東京から小豆島に移住した顛末が、詳細かつ面白おかしく書かれている。内澤さんという人は年の頃は私とほとんど変わらない。しかもシングル仲間。しかも東京からの移住組。しかもヨガのプラクティショナーというので、すっかり親近感がわいた。

単身女性の地方移住は昨今大して珍しくなくても、中年女性となるとがくんと数が減るだろうと思っていたが、内澤さんによるとどうもそうでもないらしい。なんとなく心強い。

その数日前にも、本屋で星野源の「いのちの車窓から」というエッセイ最新刊を買って読んでいた。私はテレビをあまり見ないし、見てももっぱらNHKなので、芸能人やアーティストはNHKに出る人しか知らない。だから私は長らく、星野源という人を「LIFE 人生に捧げるコント」に出てくるコメディアンだと思っていた。でも、実は音楽家でもあり文筆家でもある、ものすごく多彩な著名人なのだということを、さすがの私もどこかで知るに至り、本屋で見かけて初めて衝動買いしたのである。

お二人ともプロなので文章のうまさは当然として、身の回りの出来事や「心の機微」(「いのちの車窓」帯より)を綴ったのがこれだけ興味深いというのは、やはりその人生の濃さというか、経験の幅と深さが表れるからなんだろう。

逆に言えば、エッセイストというのは自分の人生や生活を切り売りするものなのだな、と改めて気づかされた。私とて、こんな「日記」と銘打ったブログを書いてるということは、生活を晒しているのと同じなのだけど、こちらは素人である。基本的には知友人の輪+アルファくらいのリーチしか想定していない。

…いや告白するとね、「いつの日か夢の印税収入」を妄想しないこともないんだけど(笑) でも不特定多数の人の目に触れる前提で固有名詞を使ったエピソードを書くなど、うーむ、私には無理だ。

それ以前に、私の人生はあまりに起伏に乏しい。子どもも産んでないし、せめてバツイチくらいなってみてもよかったがそれも叶わなそうだし。「移住」といっても離島の一軒家で農業始めます、とかではなく、駅前のマンション住まいでサラリーマン(こないだまでは)。客観的に見れば品川から大井町へ引っ越したのと大して変わらないし。個人事業主にはなったが、会社を興そうなどという度胸も才覚もないし。そしてこれは幸いなことだけれど、これまで大病とか事故とか最愛の人の死とか、人生観をガラッと変えるような出来事も何ひとつなかった。こんな私の生活エピソードを、友人ならともかくアカの他人に聞かせても全然面白くないはずだ。ましてや私の「心の機微」など、だれも知ったこっちゃないわね(笑)

いたって凡庸な者のいたって普通の人生。 でも世の中ってそういう普通な人の方が多いじゃん?凡庸だっていいじゃん?

と独りごちて顔を上げると、あづま運動公園の上空は曇って少し肌寒くなってきた。さて、日帰り温泉でも寄って帰るか。

ということで、わが福島移住日記はこの先も淡々と続くのであります。

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