バイリンガルは目指せるか

先日、パソコンに向かって「なんだべ、これ」と独り言をいっている自分に気づいた。

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イナカにいくとお年寄りの話している言葉がわからない、とはよく聞く。私もそうだった。はじめのころ、自宅近所を散歩していたら、田んぼ仕事をしていたおじいさんが声をかけてくれたことがある。…聞き取れない。一度聞き返したが、やっぱり聞き取れない。いや、聞き取れてはいるが意味がわからない。二度聞き返す勇気はなく、きっと「どこへ行くんだ」と聞かれているに違いないと想像し、「ちょっとお散歩です!」とニッコリ笑って足早に通り過ぎた。おじいさん、なんか妙な顔をしていたような気もするが、よそ者だとわかって許してくれただろう(たぶん)。町の広報誌の取材で80代のご夫婦の話を聞きにいったときも、最初は2割くらいしか理解できず、マジに焦った。2時間も話していると多少は慣れてきたが、それでも地元出身の職員が同行してくれてなければ、原稿は書けなかったと思う。2年近くたった今は、そうだな、7割くらいはわかるようになっただろうか。

一方、若い人たちは、当然みんな地元語と標準語のバイリンガル。大阪人はたいてい誰と話すときも憚りなく大阪弁だが、こちらのみなさんは「よそ者」と話すときと地元同士で話すときでは言葉をちゃんと使い分けている。とはいえ、アクセントの強弱はやっぱり人によって差があって、これがなかなか味があるんだな。

逆に言えば、よそ者は言葉でわかってしまう。もちろん移住者は正真正銘のジモティにはなれないし、なる必要もない。外国じゃないんだから標準語さえ話せればどこへ行っても事は足りる。のであるが、現地の人と「共通の言葉」を持っている、というか持とうとしているかどうかは、ある程度「暮らし心地」を左右するような気はする。

でも外国語と違って学校で習うというわけにもいかず、みな私との会話はほぼ標準語なので、ジモティ同士の会話を耳で聞いて覚えるしかない。なんちゃってジモティへ、ローカル語習得の道は長い。「なんだべ」くらいではまだ序の口だ。

(画像は「イケメンde福島弁」のLINEスタンプ120円。的確な英訳がついていて便利)

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おひとりさまの家さがし(1)

先月、東京から友人が遊びにきてくれた。いや、東京からというのは語弊がある。以前、東京の会社でご一緒した彼女は、いま福岡に住んでいる。が、千葉にあるご両親宅にもときどき滞在しているということで、今回は上野から新幹線に乗ってきてくれた。以前の記事でも紹介したことがある単身移住大先輩のMさんだ。でも、移住といっても彼女の場合は移動型。いかにもノマドらしく、近々また関東圏に戻って茨城あたりに住むかもしれないという。

そんな自由人のMさんと、二本松が誇る岳温泉につかって夕飯を食べ、翌日なにをしたかといえば福島市ツアー。といっても観光バスではなく、私のなんちゃって家探しプロジェクトの第一弾、まずは「土地勘の養成・エリア選択」編である。案内役は、職場の後輩のこれまた独身ジモティ女子Sさん。そのタクシー運ちゃんばりの知識で、市内のめぼしいエリアをくまなく回ってくれた。14633264052_2a7a8b8429_c(ちなみに福島県の県庁所在地は郡山でなく福島。人口29万は県内3位でけっこう地味な存在だが、それなりに都会=写真 ©水村亜里 (MINAMURA)さんよりお借りしました)

私と同様不動産大好きなMさんは、このツアーに大喜びで参加してくれ、道中まったく忌憚のない意見をバシバシ述べてくれる。これが大変ありがたい。「あなたのイメージからいうとこの辺」などわりと非科学的なコメントもあるのだが、場所探しには直観も大事なのはたしかだ。それにしてもMさんの大阪人並みのテンポのいい突っ込み。普通に答えてもボケになってしまう私。ハタから見ると漫才だと思う。

そんなこんなで女3人、しゃべりまくり笑いまくって1日が終わる。女は男は、という言い方は好きではないけど、同じ単身でもやはり女のほうが、他人と群れることで生存を図るサバイバル本能が働いていると、思っちゃうんだな。持つべきものは友というが、おひとりさまの不動産探しこそ友の力を借りるべし。

ついでに書くと、福島県内はピンポイントで不動産市場かなりひっ迫している。新幹線のとまる郡山、福島。沿岸は復興の最前線いわき、南相馬。こうした「人気エリア」は特に、売買も賃貸も本当に物件数が少ない印象だ。

「福島は人口減少がつづいている」というイメージは、県全体としては確かに正しいのだが、福島も広い。ピンポイントで事情はかなり異なる。原発事故後に県外に避難した人たちも徐々に県内に戻ってきているのが現状だ。強制避難の人向けには、早く仮設から出られるように県内に復興公営住宅というのが建設されてるのだが、できるのがあんまり遅くて、業を煮やして自分で家を買ったり建てたりする人もけっこういる。元いたところ(原発に近いエリアとか)には戻れない・戻りたくない人たちが、上の4つをはじめとする一部の市町に固まり始めているっていう感じだろうか。それに加えて、除染・復旧工事関係者はもちろん、私のように復興支援で外から入ってきている人もたくさんいる。

数字を調べずに印象だけで書いて申し訳ないが、物件が少ないのは実際に探し始めてみての実感だ。「いい出会い」を気長に待つしかない。人生のパートナーとの出会いには恵まれてこなかったが、不動産との出会いは恵まれてきたのでたぶん大丈夫 ^o^/(自爆オチ)

雪を好きになれる方法ありませんか

先週、まだ11月なのに雪が降った。福島に来てもうすぐ3回目の冬。去年の初雪はもっと遅かったような気がする。

10314004_10205470918601589_84778042135202020_nここ中通り地方は、南会津のような豪雪地帯の比ではないが、それなりに降るので除雪グッズは必需品だ。スコップ、長靴はマスト。それから、車に積もった雪をおとす専用の道具(スノーブラシというベタな名称)も、こちらにきて初めて見たが、安いわりにけっこう優れものである。

実は2014年1月に福島に来た当初、どうせ短期滞在だから、こうしたグッズをそろえるのはもったいないと思って、チリトリとぞうきんでしのぐ予定だった。そこへ、覚えてますか?あの2月のドカ雪。東京でも2週連続かなり積もったらしいが、中通りも平地で腰の高さの積雪は30年ぶりとかで、除雪車は遅いし、あっちこっちでたいへんなことになった。当然、我が家も我が車も、チリトリとぞうきんでは太刀打ちできず、他人様のお世話になったのでした。(写真はほぼカマクラ状態のしんじ君1号)DSC_0527

あれから1年9か月。雪雲というのも見てわかるようになってきた。昨日も山のほうには雪雲がかかって(下の写真)、ウィンタースポーツをする人なら、シッポわぐわぐの季節の始まりだ。

でも私は、寒いのも日が短いのも雪道の運転も大嫌い。同じ地方暮らしでもホントはもっと暖かいところがよかったんだけど、実は日本列島けっこう南のほうまで雪降るんだよね。ぜったいに雪が嫌なら沖縄移住か、でなければやっぱり関東平野にとどまるのが無難かも。近いうち、集合住宅を卒業して一軒家志望ではあるが、去年の2月みたいに積もったら雪かきは大変だろうなあ。年とったらそれこそ一人じゃ無理だ。草むしりも雪かきも、ぜんぶ一人でできるかどうか、やはり買う前にまずは賃貸からお試し、すべきであろう。

とはいえ、こちらにいる間はなんとか冬を積極的に楽しめるよう、今年はスノーシューイングにデビューしたいのだけど、できるかな?

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あなたはお医者さんを信じますか

先週の話。脚の筋肉をいためて、寝られないほど痛くなってしまったので、医者にいった。これまで大した病気もケガもしたことなく、めったにお医者さんの世話にならないのが自慢であった。が、あんまり痛い場合はしかたない。

イナカにいくと病院のチョイスは限られる、と思うかもしれないが、ちょいイナカのこの辺では、ふつうの町医者ならどの診療科もそれなりの数ちゃんとある。今回はネットで調べた近所の整形外科にいったら、その場でMRI検査までできたのでけっこう感心した。入院や手術までできる病院、いわゆる二次医療機関も、車で10分圏内にいくつかある。実はこちらに来て初めて一次医療圏、二次医療圏という言葉を知ったのだが、イナカ度合によっては、この二次医療機関まで1時間以上というところはあるだろうね。

DSC_1528原発事故で国の避難指示が出てる地域の住民は、指示が解除されたら帰るかどうかという質問に対し、「近くに医療機関がないと不安で帰れない」という。若い人にはピンとこないかもしれないが、五十の声を聴くころになると、健康なつもりでも少しずつ身体が変調してきて、お医者さんはじわじわとありがたい存在になってくるのだ。もっと歳を重ねて多少やっかいな病気にかかる率も高くなれば、「大きな病院」が近くにあるに越したことはない。

世の中には、西洋医学を否定して自然療法とか代替医療をアツくお勧めする人たちもいる。ことガンに関しては、外来でなく自分の細胞が変化したものだから、食べ物(あるいは絶食)で治せるのは理論としては理解できる。私もどちらかといえば西洋医学を否定する、というより「限界を感じる派」だが、本当に痛い苦しいとなると、やっぱり薬や外科治療に頼るような気がする。この春、母が大病して非常に苦しみ、4か月半も病院のお世話になったが、何本ものチューブを身体に突っ込んで、あの瀕死の状態から生還させてくれた西洋医学は、結果としてはまったくスゴイものだと言わざるを得ない。

チューブを突っ込んで助けてくれるような医者がいない本当の「イナカ」に暮らすなら、食養生と薬草のお手当をマスターするのはもちろん、身体の痛み苦しみを超越できる精神修養が必要なんだな、と思う今日この頃である。

それにしても、お薬ちょっと出しすぎじゃないかなあ…たしかにかなり痛かったのだけど…(写真は処方された1週間分のお薬。飲んで貼っておかげさまで無事治りました。ありがたいけど使い残しがたっぷり)

虫好きのあなたへ

イナカ暮らしは「虫との闘い」を免れない。と聞いていたし、その覚悟でいた。

以前東京でマンションの1階に住んでいたとき、猫の額ほどの芝生庭があって、隣に少し木も生えていたせいか、夏の蚊には悩まされた。台所にあまり食べ物はなかったのだが、おそらく外から進入してきたのだろう、ゴキちゃんもひと夏に1~2回は見かけた。

DSC_0946いま住んでいる二本松のアパートも1階(ちなみにこのあたりの建物で3階以上はほとんどない)。となりは田んぼ。住み始めたのは極寒の2月だったから猶予はあったが、春になったら何が出るんだろうとおっかなびっくり。職場のみなさんからも、「白い洗濯物を干しておくと〇〇がびっしり」とか「サッシの窓に〇〇がいっぱい」とかかなり脅され、昨年はしっかり心の準備を整えて1回目の夏を迎えた。

ところがシーズン終わってみれば、なんとゴキはもちろん、蚊すら全く見かけなかったのである。網戸に小さな羽虫がポツポツくっついていたり、大きめのカトンボみたいのが玄関先に陣取っていたことはあったが、それ以外はなんだか拍子抜けするくらいバグフリー。そして今年の夏も、やっぱり一度も蚊には刺されなかった。「もしかして放射能で生態系に異変?」という方向で考える人も中にはいるかもしれないが、おそらくこれは単純に、「近くに淀んだ水たまりがない」ということなんだろう。田んぼの水は実はきれいなのだ(当たり前だが)。

そのかわりと言ってはなんだが、散歩で道を歩いているといろいろな生物のご遺体を見かける。親指ほどの毛虫、ミミズ、カエルはもちろん、ヘビもけっこう犠牲になっている。最初はドッキリしたがだいぶ慣れた。(写真は昨夏の散歩の途中に見かけた美しいクモ。ご遺体ではなく見事な巣にお住まい中。…あ、クモは虫じゃないけど)

でも、平地の紅葉もそろそろおしまい。夜の気温が一ケタになってくると、もう虫も爬虫類も活動休止の季節だ。冬が始まる。